山陰地方・紀行文

58期の寺川です。
冬の寒さにも飽きてきて暖かさが恋しいこの頃ですね。
ということで、去年の暖かい時期に行ってきた山陰地方の紀行文を書きたいと思います。
今年度の夏合宿後、僕は9月上旬に同期のT君、N君と共に山陰地方の各所を巡ってきました。自転車で。苦しい時もありましたが、夏を締めくくるのに相応しい旅でした。

まず初日は青春18きっぷで山口県の長門二見と言う駅まで行き、そこから20kmほど先にある島の灯台下で一泊します。角島という本州最北西に位置するこの島はちょっとした撮影スポットらしく、ここではテントを張っている時に写真家のおじいさんと会いました。
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翌朝、起きたら蚊に刺されまくっていました。しかしそれを除けばとても心地のいい朝で、無意味に島の外周を走り回ってしまったほどでした。角島を出て、本土と島を繋ぐ橋がよく見える写真ポイントで4,5枚撮った後、僕らはとある神社に向かいます。
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元乃隅稲成神社。それがこの神社の名前です。辺鄙なところにあり、このあたりの坂道は大変でした。この神社の賽銭箱は何故か鳥居に設置されていて、日本一お金を入れにくい賽銭箱としてナニコレ珍百景に登録されているらしいです。理系のT君は角度だの慣性だの言いながら何度も外していました(笑)。
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その後、僕らは道中のちょっとした名所に寄りながら萩市街まで走りカラオケボックスで一泊しました。この日は高低差が激しくて疲れました。

3日目は延々と海沿いを走り、道の駅発祥地の一つである阿武町やホルンフェルスという断層に寄りながら島根県に入り、浜田城という小さな城の近くでテント泊しました。風が強いうえに長距離の行程で、この日も疲れました。(キツかったせいでこの個人活動は後にチャリ―養と呼ばれるようになります。)
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最終日です。この日、まず向かったのが温泉津(ゆのつ)です。ここは石見銀山で産出された銀の積出港だった町で世界遺産に登録されています。しかし、賑やかな歓楽街などは無く、鄙びた日本旅館が立地する静かな街並みでした。もちろん名前のごとく、温泉の名所でもあり、日本温泉協会から最高評価を受けている全国12カ所の天然温泉の一つです。しかし、ここの温泉はとても熱くて長湯は出来ませんでした。二階の休憩室で少し寛いでから次の目的地に向かいます。
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国道を進んだ後、趣のある旧道を登って古いトンネルを抜けると程なくして着きました。石見銀山です。
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石見銀山の観光地区一帯は歩くには広く、マイカー規制もかかっているので、ここではレンタサイクルで回るのが一般的のようですが、僕らはドヤ顔でマイ自転車を乗り回しました。ところで、採掘の為に掘られた坑道のことを間歩(まぶ)というそうですが、なんとこちらの間歩は海抜よりも深いところまで掘られているそうです。
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石見銀山を後にすると、この旅も次の場所で最後になります。小さなアップダウンの連続する国道も終わり、残り15kmとなった地点で海沿いの快走路に入りました。
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ここにきてみんなのペースが上がり、僕は上の写真を撮っている間に7、800m離されていました。頑張って先頭に追い付き、市街地をゆっくりと抜けて、そして遂にこの旅の終着地点に着きました。10月に日本中の神様が集まる場所、かの有名な出雲大社です。
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整然とした社を見て回り、おみくじを引いてから敷地を抜けると、町に静かな夕暮れがかっていて旅の終わりを彷彿とさせました。

その後、スーパーで食料を買い、カラオケ喫茶でささやかな宴会をしてから各自眠りにつき、翌朝に解散しました。
今回の旅は大きなアクシデントもなく、全日とも晴れでとても気持ちの良いものでした。
この個人活動を通して、やはり旅と言うものは自分の力で行ってこそのもので、それがフィールドに対する敬意なのだと感じました。そんな僕としては、この記事を通して自転車旅の魅力を伝えることが出来ていたらいたら幸いに思います。長くなりましたが、駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

(写真・文=次期3回生 寺川和希)

冬PW

ご無沙汰しております。58期(次期3回生)の寺川です。
まずブログ管理上の問題により、しばらく更新が滞ってしまいましたことをこの場を借りてお詫び申し上げます。特に、このブログを楽しみにしていただいているOB・OGさんがた、大変申し訳ありませんでした。そしてワンゲル部に興味を持ってくれている新入生の方、大丈夫です。後期も僕たちは順調に活動しています。
では、内容の方に移ります。
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2月初旬に雪山に登ってきました。我が部おなじみの比良山域です。
僕は今年が初参加だったのですが、どうも聞く限り去年よりも天候に恵まれた合宿だったようです。そのこともあって、今回の山行はとても楽しむことが出来ました。初日、ずっとテンション上がりっぱなしで、雪玉投げて遊んだり、新雪の上をドカドカと駆け下りたりしていました。普段の登山では体験できないことばかりで大変有意義な時間でした。ただし、普段体験できないものは、楽しさだけではありません。
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例えば谷を歩く時、素人がパッと見ただけでは雪の下にちゃんとした足場があるのか、川が流れているのか、あるいは空洞であるのか、なかなか分かりません。それに加えてパーティーの先頭で歩く人は正しい道を模索し、雪を踏み固めながら進まなければいけません。さらに二日目、武奈ヶ岳山頂に向かう稜線では視界が真っ白になってしまう程の吹雪でした。この時僕は冬山で実際に遭難している人がいるという事を実感しました。何であろうと、今までにやったことのない新しいことをするには愉しみと同時に苦労もあるものですね。今回の雪山では、その二つを実感しました。そして、その自分の初挑戦は一緒に歩いてくれた仲間がいてこそ成立するものでした。同行してくれた現役のみなさん、指導してくれたOB・OGの方々、本当にありがとうございました。
(写真・文=次期3回生 寺川和希)

投稿日時:2015-03-01 23:11:15
カテゴリ:冬PW合宿
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夏合宿(南アルプス)その①!

どうも。59期の田中です。
私たち大阪大学ワンダーフォーゲル部は、この夏休み、日本アルプスの北と南に別れて合宿を行いました。今回はこのうち南アルプスでの夏合宿について報告します。

5日間かけて、南アルプスに連なる山々のうち、北岳、間ノ岳、濃鳥岳の3つを縦走しました。
初日はひたすら登りです。歩き始めた地点が既に標高1000mを越えていたとはいえ、そこは流石に3000メートル級、そう簡単には登りきることはできません。
延々と続くだけでなく次第に勾配を増していく上り坂と、決して良いとは言えない天気、そしてパラパラと降り始める雨に、私は不安を募らせていました。

 しかし二日目、朝起床して朝食をとって出発準備を終えた我々の前に、日の出と共に広がったのは、この景色でした。
2day asa

 

2日目はこのあとずっと稜線を歩きます。足場の悪い稜線を先輩方に助けてもらいながらおっかなびっくり稜線を歩いている間も、天候に恵まれ、ずっと雲海を見渡すことができました。以下は、今回登った中の最高峰にして、富士山に次ぐ日本二番目の標高を誇る北岳からの風景です。
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(北岳から北側に向いた時の展望。)

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(北岳から南に向かった時の展望。一番奥に見える形の美しい山が、ご存知日本最高峰の富士山。)

北岳にのぼった後もずっと富士山を見ながら稜線を歩き、間ノ岳を通過して2日目は終わりました。

3日目の休養日は雨にみまわれ、雨漏りやヒルとの格闘に一日が費やされてしまいましたが、4日目以降は再び天候に恵まれ、何事もなく下山することができました。


 今回の合宿は、我々南アルプスグループの一回生にとって初めての高山となったので不安もあり、合宿中も様々な失敗をしてしまうこともありましたが、終わってみるととても楽しい合宿でした。残念なことに携帯が途中で放電してしまったので、間ノ岳以降の写真が無いのですが、少しでもその風景の壮大さ、山の楽しさが伝わればと思っています。

(写真・文  59期 田中優大)

二次予備合宿 2014

夏合宿に向けて行われる二次予備合宿。
私たち阪大ワンゲル部は、6月の土日を使って、滋賀県の比良山での2日間の合宿を終えてきました。


二次予備合宿は、

一次よりも重い荷物を持つ
梅雨の時期なので蒸し暑い
景色が悪い

など、あまり楽しいところがない合宿と聞いていたのですが、
山行前後の雨のおかげか、そこまで暑くなく、わりと快適だったように思います。


もちろん、予備合宿は錬成のための合宿ですので、厳しい訓練も行います。
打見山から蓬莱山までのゲレンデを「歩く」、という苦行です。

谷村 ブログ用

一つ坂を上りきると次の坂が現れる。
先の見えない、長く急な斜面を一歩一歩進みます。
進むペースを上げすぎた一回生が、最初の坂を上りきった瞬間、さらに続く坂を目の当たりにして絶望する、なんて場面もしばしば見られました。
自分のペースで上ることが大切なのです。


そんなこんなで、大きなアクシデントもなく、無事に合宿を終えることができました。
続く三次予備合宿も、しんどいことには耐えつつ、楽しめるところは楽しんでいきたいと思います。

(文:59期 谷村 直道)

鈴鹿山脈歩荷記

五月、世に言う「ゴールデン・ウィーク」は、大阪大学ワンダーフォーゲル部の一年のなかで、とりわけ特別な意味を持った一週間だ。ワンゲル部随一の“過酷”な鍛錬合宿、「L養Ⅱ(りーよう・に)」が挙行されるからである。「L養」とは、すなわち「Leader養成」の略。われわれ新2回生にとって、当合宿はまさにワンゲル部員としての進級試験であるのであって、昨年度四月の入部以来、一年を経て、“ワンゲラー”としてどこまで成長できたのか、己を厳しく問い詰める合宿となる。以下、依頼を受けてから随分経っての脱稿となってしまったが、「L養Ⅱ」合宿について、記憶に留めていることを書いていきたい。

☆☆☆ ☆☆☆

今年度の「L養Ⅱ」の舞台は、われわれのホーム・グラウンドと言うべき比良山系と、琵琶湖を挟んで向かい合わせにその位置を占めている、1000m級の連嶺・鈴鹿山脈であった。その滋賀・三重県境の峰々は、比良の武奈ヶ岳から、いつも霧の中に山容を望見していた峰々で、或いは憧れの山脈として、筆者の心中にあったかもしれない。1000m級と侮るなかれ。その縦走中の景色は極めて変化に富み、ササ原の拡がるたおやかな山容をもった竜ヶ岳、急坂の続く峻厳な南稜が印象的な藤原岳、カルスト地形に興趣の尽きない御池岳など、30数kgを背たろうての鍛錬のなかでも、その風景に感動を覚えられるだけの豊かな峰々であった。実に、筆者はあの美景に救われて、最後まで歩ききったのだと思う。
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(たおやかな山容の竜ヶ岳。員弁川流域の展望が開けた)

☆☆☆ ☆☆☆

大阪から近鉄線と三岐鉄道とを乗り継いで三重県いなべ市の宇賀渓に到り、渓流の河原で幕営。当合宿で「食当」を分掌していた筆者は、景気付けにすき焼きをつくって、来る明日に備えた。仲々好評なのが嬉しかった。翌日、河原から竜ヶ岳までの登りは単調であったが、陰湿な照葉樹林帯を抜けて、カラッとしたササ原が拡がったとき、それまでの疲れは一気に吹き飛ぶ。この一帯の山塊を、われわれだけが独占しているようなあの爽快な心地は、山頂で「ザック・ダウン」のコールがかけられるとき、いよいよピークに達した。その後、北へ北へと縦走するその道中は、歩荷量の重いのもあって、またエアリアに記載された幕営地がはなはだ覚束無いものであったこともあって、一様に愉快と言えるものではなかったが、鍛錬合宿であるのだから、そんなことは当然甘受せねばらならない。

急坂の先に展開する「跌宕の美」に快哉を叫んだ藤原岳、伊吹山を望む秘境・鈴ヶ岳もそれぞれ忘れがたい印象をわれわれに与えてくれたが、やはり特筆すべきは、鈴鹿山脈の最高峰、御池岳からの絶景である。快晴の御池からは、未だ雪を戴く白山、木曽駒、御嶽、乗鞍までを眼下に収めることができ、まさに言うことなしという気持であった。この小さな歩荷さんたちにとって、これほどありがたい報いは一体あるだろうか!一年当地に通ったところで、これほどの絶景を何回観られるだろうかというほどのグッド・タイミングでの登頂に、まさに血湧き肉躍る筆者であった。帰路は、控え目ながら凛としたカタクリの花に激励を受けながら、鞍掛峠から国道306号へ下り、バスで滋賀県の彦根に到った。
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(御池岳からの展望。冠雪した白山を遠望できる)
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(御池岳にて。奇蹟的な絶景は、部員たちの腸に染みたことだろう)

☆☆☆ ☆☆☆

酷使した身体を保養することそこそこに、「L養Ⅱ」の翌週、われわれは「新歓合宿」に臨むことが恒例になっている。頼もしい後輩たちに、期待と脅威を感じつつ。。。二週続きの快晴にその絶景をあらわしている武奈ヶ岳に登ると、昨週登った鈴鹿山脈が、やはり遥かに堂々と連なっていた。この後、馴染みの比良山系にて、「L養Ⅱ」を或いは超えるかもしれない過酷さの「2次予備」を何とか終え、明日から白馬で「3次予備」に挑む筆者であるが、果して、“ワンゲラー”としてどこまで成長できているのだろうか。「ゴールデン・ウイーク」からこの間、鍛錬を行なってきた成果は発揮できるだろうか。一歩、一歩、歩みを進めていけば、その一歩は小さくとも、いつか頂きに達することができる。そうした「山の思想」を胸に秘め、ひとつ、いまの自分の力を出し切りたいと思っている。
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(比良山系から望む鈴鹿山脈。五月の二回の山行は、この湖国をめぐって展開された)


(写真・文=2回生 越智 勇介)

投稿日時:2014-08-14 15:02:00
カテゴリ:L養Ⅱ合宿
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