この合宿は我々63期にとっては初めての練成合宿である。しかし、筆者は練成合宿の意味をさして知らないままこの合宿に参加するのであった…。その日は天気が良く汗をよく書く筆者としては体力の戦いというよりは自身の水分との戦いであったように思える。自分が脱水症状にならないよう、しかし、一日行動水がもつよう自身の生理的欲求に逆らってチビチビ飲むのはかなりきつかった。一日目は登りきついが距離は短めの工程だった。なので、同期のT口と腕時計はアナログかデジタルかといったような非常にどうでもいいことで山行中ずっと議論していたと記憶している。


 何とか行動水があと一口となったところでサイト地に着いた。すごい達成感だ。しかし、葛城山頂でダウン中に見える範囲で歩き回って写真を撮ったりしている姿を見てP.L.さんは「ここで賢い奴は休んでんねんで。これからのことを考えたらなぁ。」という不吉な一言をたまたま聞いた筆者はどういうことかまだその時は知らなかったのである。そう、外ワーク練があるということを。初めての実践となる外ワーク練に手順もうろ覚えで挑んだため無駄にブルシの周りをぐるっと回っていたりしたため時間がかかってしまった。体を使ったら次は頭を使うのかとワンゲルの厳しさを学んだように思った。そして就寝にはいるのだがここで一つ気がかりなのは、新歓合宿でみた「あの」起床である。まあ、考えても仕方ない。寝た。そして朝。テントの中で自分が起きるのが最後だった。ヤバい!と思ったが頭はうまく働いてくれない。とにかく急いで自身の荷物をテントの外に出し自分のパッキングを初めてしまった。先に撤収やろ。と先輩から指示を受けハッと気づいて撤収に参加するも自分のするべきことを見つけるのにも少し時間がかかってしまうなど、全体的にワークが非常に不出来であった。そしてこんなに朝早くから行動を始めるワンゲルは鬼やと思ったがこういう活動をする上では仕方ないのかもしれないと受け入れ、次回はせめてしっかり一発で起きようと決意した。

朝ごはんも食べ終え、長い二日目の行程が始まった。二日目も天気は良く、これまた水分との戦いであった。しかし、筆者は一日目の経験から学んだ。自分のいる場所を大体把握しておけば次のダウンまでの道がしんどいか楽か、即ち汗を多くかくかまだましなのかが分かるためより効率的な水分摂取ができるということを。これで水分の問題は二日目は一日目よりも長い行程であったにもかかわらず何とかクリアした。そして、二日目は登りと下りが何度も繰り返される行程であり、少しずつ、しかし着実に疲労は蓄積していった。この日は単純にきついというよりかは、もう無理やわ、と思ったら道が楽になり、意外といけると思ったら、目の前に急坂が立ちふさがるような筆者的にいやらしい道であった。

 


 そうしてそこそこに厳しかった一次予備を終えて、歩荷開放をしたときは達成感がすごかった。そして、山行中に先輩から聞いた二次予備のしんどさに恐怖し、決意を固めるのであった。