平成28年度 初夏PWハイキング in 六甲山

雨は小降りになったものの外はまだどんよりとしていて、脱いだ衣服と荷物からは雫がしたたっていたが、その部屋の中はじゅうじゅうと音を立てる最高級のチーズと神戸牛の匂いで満たされていた――。

天気予報を考慮し、中止して神戸をぶらぶらするか(笑)、決行して六甲山を登るか多数決を取った。それが初夏PW六甲山の朝の始まりだった。

スタートは新神戸駅。そこから布引の滝、布引ダム、市ヶ原と景色を楽しみながら通過し、六甲山2大難所の1つの摩耶山掬星台への急坂を歩く。初夏PWならではの気楽さを最大限楽しんで、みんなで写真を撮ったり、いつも以上に喋りながら進む。
あいにくと、途中から雨に当たってしまい、ゴアを着たら雨が止むジンクスも発動されることなく、みんなの気持ちもやや沈んできてしまった。そんななか、ゴールの六甲山牧場に到着。屋根の下でほっと一息休憩し、気を取り直して動物たちを見て回る。天候のため外で放牧されている姿は見ることができなかったが、牧舎のなかの牛や馬たちを肴に話が盛り上がる。(筆頭はさすがのKさん)

初夏PWの〆は六甲山牧場での昼食兼打ち上げ。見たこともないような、昼食1食で6,000円もするような1番豪華なチーズフォンデュのセットを、これまた勢いで注文し始めるKさんに、その勢いに乗ってしまうバカな我々。冷静に4,000円ぐらいものにした奴は、今思うと賢い選択か。いや、ここはあえて、1度P会財布に入ったお金はもうないものと思って気にしないスタイルが正しかったと思おう。

とにかく、とろっとろの神戸牛にじゅうじゅう音を立てるチーズは、下界の安っぽいチーズフォンデュとは比べものにならないくらい美味しかった。 …その美味しさを思えば、追徴があったことにも目を瞑ろうではないか。

来年もぜひ、美味しいチーズフォンデュを食べに、六甲山牧場へと赴いてほしいものである。

平成28年度 初夏PWハイキング in 高野山

初夏PWの日は雨であった。

2,3回生は総じて乗り気ではなく、集合して早々に、リーダーさんは、今日の合宿を予定通り行いたい人はいますか?と1回生に尋ねる。そうすると、1回生は迷いながらもほぼ全員が手をあげる。
雨の日のPWはそういうもののようだ。

PWというのは、完遂すべき錬成合宿でもなければ、1年のメインである長期合宿でもない、気楽なものである。2,3回生の多くは、雨の日はいっそ中止にしてしまおうと考えがちである。しかし、1回生にとっては違うようだった

思えば、去年にも同じようなことがあった。花PWの時である。1回生であった僕は、リーダーさんに、今日の合宿を予定通り行いたい人はいますか?と聞かれて、迷いながらも手を挙げた。単純に行きたかったのもあるし、大阪駅に準備を済ませて集合して、そのまま帰宅するというのは、なんというか、手持ちぶさたな感じがしたのだ。(リーダーさんの中には、ボウリングに行こうと言って下さる人もいたけれど。)それに、上回生の方々は、この合宿のために色々準備をしてきているのだから、行きたいに決まっている。そこで1回生の意見で合宿を中止にするなんてありえない! という思いもあった。

結局、その日行われた合宿は、途中で雨も弱まり、ほとんど花は嵐で散ってしまったようではあったけれども、その中で、合宿前に調べた花を探すという、別の楽しみもあった。

話がそれてしまったけれども、僕は朝のその出来事を、去年のことと重ねながら、この合宿がどうなるのか楽しみにしていた。

今合宿の目的地は高野山である。高野山の金剛峯寺といえば、歴史や地理に関して全く教養のない僕でも、何度も耳にしたことがある。きっとすごく有名なところだ。

電車とバスを乗り継いで登山口についたあと、皆すぐにゴア(レインウェア)を着始めた。ゴアには、雨山行の辛さを思い出させる力がある。その後、登山道を登り始めた。登山道といってもそこまで本格的なものではなくて、(雨だからか)特に見どころもなく終わってしまった。登山を終えると大きな門があって、(僕は何の門なのか知らない。)みんなで写真を撮った。そこからは完全に観光ではあるのだけれど、高野山の有名なところをめぐることになった。

金剛峯寺についたとき雨はかなり強かった。計画的な人は、観光時に備えて傘を持ってきていた。私は持っていなかった。ゴアというのは雨の日の山行には向いているけれど、雨の日の観光には向いていない。特に建物の中に入るときなんか最悪だ。建物の玄関で、大勢でゴアを脱いで、ザックにしまっていたら、すごく邪魔だし、周りをびしょびしょにしてしまう。それで、建物から少し離れたところで、あらかじめゴアを脱いでおくことになるのだけれど、傘を持っていないみじめな人たちは、ゴアを脱いだ後に強雨の中を無防備のまま歩くことになる。傘を貸そうとしてくれる人はいても、携帯用の小さい折り畳み傘では、男二人は入らない。

持ってきている着替えを使って、できる限り綺麗な服装で中に入った。中はすごくきれいに整備されていて、それでいて昔の雰囲気を残していた。襖絵と庭がすごくきれいだった。帰るとき雨はほとんど止んでいたけれど、お寺の人が傘を下さった。なんていいところなのだろう。金剛峯寺の名の入った立派な傘だった。

その後、高野山にある、たくさんのお墓(慰霊碑)のある所に行った。(高野山奥の院というらしい。)雨の日の雰囲気を残したまま雨は止んでいたので、たくさんのお墓と大木の並ぶその道は、神秘的であった。ここはもう一度行きたいと思った。
このあとはバスに乗って、温泉に入って、打ち上げをした。

結局今回の合宿も、個人的には大変満足であった。今思っても、高野山奥の院のあの道は、雨の日の方がずっといいと思う。雨の日ならではの楽しみがあったのだ。雨の日のPWも楽しかったな、と1回生が思ってくれていたらいいなぁ。