西表島探勝記

西表島の朝。しだいに見えてくる山際は扁平で、どの山も台形状をしている。その下の、漆黒の闇に包まれていたあたりが鮮やかになるとき、この山の豊かさに驚かされることになった。本州のそれよりいくぶん遅い、亜熱帯の島の日の出である。
nakamagawa
(仲間川マングローブ林の夜明け。この日は朝日が見られなかった)


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格安航空Peachが新石垣空港に就航するようになってから、この日本の果ての島は貧乏旅行者にとってアプローチが容易になった。西表島が属する八重山諸島は、石垣島、竹富島、小浜島、黒島、波照間島、西表島などから構成され、石垣島を主島とする。石垣島から西表島大原港までは船で1時間弱。隆起サンゴ礁で形成されたのっぺりとした島々の中にあって、沖縄県最高峰於茂登岳をいただく石垣島と対置するように、ひときわ宏壮な姿で、その島は現れる。

このブログの読者の中には、ワンダー・フォーゲル部を考えてくれている阪大の新1年生も多いだろうから、若干説明を加えておくと、「ワンダー・フォーゲル」とは、ドイツ語で「渡り鳥」を意味するそうだ。筆者は夏合宿は北海道・大雪山へ、秋合宿では列島の背骨のような信州の連嶺をたどった。日本中を股にかけて、東へ西へ美しい風景を求めて歩くのだから、「渡り鳥」もむべなるかな、である。交通費や食費等の費用として数万円を要するけれども、できる限りの貧乏旅行をするし、テントを担いでみんなで歩くのだから、パック旅行から比べると遥かに安く、また内容の濃い旅となって、ほとんど学生時代にしかできないような、充実した営みを体感できる。


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今回の合宿では、大学の長い春休みを使って、西表島の一周、それから縦断に成功した。大原港を出て、バスと船とを乗り継いで、舟浮と言う集落まではすぐに到れるのだが、そこからがワンゲル魂の見せどころ。西表島の南岸は古来道が通じておらず、大原港まで「一周」を果たすには、ごつごつした岩と、山と、裾礁(リーフ)と呼ばれる浅瀬を歩くことになる。3日間の行程、その間は静寂の砂浜でテントを広げることになるが、こんな贅沢な時間は無いと思った。これを達成するには、もちろん相応のトレーニングは必要だが、決して息が上がるようなことはない。行程は綿密に計画されるが、それ以上急くことはない。歩く旅はどこまでも心穏やかだ。夜には蛍が見られることもあった。夜の寝る前は多少の雑談。こういう場合、近況報告、秘めたる悩み、或いはスケベエな話、それらが話題を支配するのであって、これは古今変わらぬような気がする。朝再び太陽が昇りだすころ、われわれは出発の準備を整え、再び歩き出す。
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(クイラ川の河口をじゃぶじゃぶ。泥にはまって、靴が脱げた)

西表島は、エコ・ツーリズム運動が早くから行われた島として知られており、島民たちを中心に、さまざまな運動が行われている。エコ・ツーリズム産業の盛況に比べて、エコ・ツーリストは、日本においてあまりに育っていないと言われる。われわれも、日々「訪問者」との自覚を持っていなければならない。そういうことを肝に銘じつつ、河の中流の停泊場で他の観光客と別れ、舟から降りた一行は、宏大な浦内川水系の密林に潜り込んだ。沖縄県第2の面積を誇る西表の森は深く、つるつるした岩肌やちくちくする木々が行く手を阻むが、たまたま川の水量は少なく、ついに幻の滝「マヤグスクの滝」を目のあたりにした。遠くから全景を得たり、滝壺まで接近したり。人間の小ささと対照的に、水の動きは壮大だ。上流から流れてきて、段々になった石の上を屏風の如くになって滑らかに落ち、さらに海を目指して流れていく。
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(道中の小川にて。動植物に見慣れないものも多い)


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西表島の魅力はまだまだ語りつくせない。縦断が成功して、打ち上げを終えても、まだ旅を終える気持になれなかった筆者は、竹富島や鳩間島の集落も訪ねたし、西表島も再訪した。たかだか2週間の合宿で、西表島を知った、学んだと言うのは、或いはおこがましいことであろう。ただ、この島でのワンダー・フォーゲルの実践を通じて、この島で感じたさまざまな風景、音、においは、われわれを少し、エコ・ツーリストとして成長させてくれたにちがいない。

ワンダー・フォーゲルの実践は、一つの到達点を目指す先鋭的な登山や、或いは厳しい気候中の過酷な探検を好まない「軟弱な」もの。だけれど、日本中至るところに、自転車に乗ったりもして、さまざまなアプローチで飛び込んでいくことができる。その一端は、この記事でも紹介することができたのではないかと思う。是非部室までお越しください、待ってます!


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hatomazhimayori mita iriomotezhima
(鳩間島から眺めた西表島。やっぱり扁平な島だ)

pinaisara
(ピナイサーラ。マヤグスクの滝とはちがった魅力がある)

sonai no kominka
(西表島の旧村にて。)

komi no hozyo
(さよなら西表島。)


(写真・文=新2回生 越智 勇介)

沖縄の無人島

58期の今西です。
阪大ワンゲル部に入部してもう1年が経ちました。はやかったな~。
大学に入る前は、自分がこういった部活に入るとは思ってもいませんでした。
でも、良い経験は得られるし、合宿は楽しいので入って良かったな~って思ってます。
新入生で興味のない方でも部室で一度、話を聞いてみてはいかがですか。

今回、私が参加したのは沖縄の無人島合宿でした。
こんな感じの島でした。海が綺麗。
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自由な時間を持て余すのも貴重な気がしました。大学は忙しい...。
いつもの合宿とは違い、のんびりできてよかった。一番。

アフター(合宿後の自由行動)では沖縄の観光名所を自転車でまわったりと、とても有意義に過ごしました。
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こんなとこも走りました。
風がとても気持ちよくてテンション上がりました。
次は、自転車の合宿にも参加したいな。

まとめ いつもは山登りの合宿ですが今回は無人島や24hロードに参加して新たにワンゲル部の楽しさを知りました。
大学生だからこそできる経験なのでワンゲル部、オススメです。

無人島

 こんばんは!56期の出口です。
僕はこの春休みに冬PWと阿蘇九重のサイクリングと無人島に行ってきました。
冬PWとサイクリングの魅力についても語りつくせないほど沢山あるのですが、他の人が語ってくれたので、今回は無人島について紹介させていただきます。

 通常は春休みを使って毎年無人島の合宿を行っています。今年は沖縄の離島の伊是名島の近くにある具志川島という無人島に行ってきました。無人島というだけあって人はいないのですが、電波は入るので有事の際はすぐに離脱できます。僕の部活はいろんな活動をしていますが、あくまでも安全を最優先にしています。またその島にはハブとかの毒蛇もいません。これは地殻変動で、島が水没したことが一説としてあるらしいです。(あれ、じゃあ何で兎はいたんだ?

 無人島に行って何をするんだと思われる方が多いと思います。すばり何もしません!(笑)就寝時間とか起床時間も決まってなく、テントを拠点に自由気ままに過ごします。釣りをしたり、遊び道具を持ってきて、キャッチボールやサッカー、フリスビーをして思いっきり遊ぶのも良し、海を眺めて黄昏るのも良し、テントにこもってトランプや麻雀、読書、昼寝をするのも良しです。みんなで島内探索もしました。
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 岬に行って皆で海を眺めました。流石沖縄、吸い込まれそうなほどのエメラルドブルーの海は圧巻!といいたいところですが、天気があまり良くなかったので、少しくすんでいました(泣)写真に写っているのは去年無人島の記事を書いたK君です(^^)

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 また無人島の魅力の一つとして、この有り余るほど沢山ある暇な時間を使って普段の合宿ではできない凝った料理を作ることができます。普段の合宿は基本的にはご飯or炊き込みご飯とカレーやシチューなどの汁物を作るんですが、無人島の合宿ではその枠を超えて、バームクーヘンやお好み焼きなどいろんな料理を作ることができます。
 今回は新2回生の58期がピザを作っていました。生地から作ったというからすごい!窯を作るのが面倒になってワイルドに直接焼いていますが味はなかなかでした(笑)

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 無人島で4日(合ってるかな?)過ごして次の日は島を出て名護で打ち上げをして、その後は解散しました。合宿が終わったあとは各個人自由に観光や旅を楽しめるのもワンゲルのいい所。僕はあの有名な国際通りをさくっと回ってすぐに帰りましたが^^;というもの去年の春合宿で沖縄を自転車で隅々まで回ったので満足してたんです(笑)

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 無人島なんて時間を浪費してるだけだと言われたら返す言葉もないのですが、そんな時間の使い方をできるのも学生のうちだけです。山登りとかサイクリングなどのアウトドアの王道ともいうべき活動に活動に興味がある方はもちろん、こういった一風変わった活動もしてみたいという方も大歓迎ですので、ぜひサーオリのブースに来てください^^新歓ハイキングも予定しています。

西表

こんにちは。56期林です。

今回私は西表島合宿に参加しました。
西表島というは沖縄本島から460km、台湾まで200kmの所にあるとても南の島です。
そのため、サンゴ礁とマングローブ林、亜熱帯のジャングルなど、日本の山々とは一味違う自然を楽しむことができます。

浦内川河口マングローブ

そして今回の最大のターゲットはマヤグスクの滝!
マヤグスクの滝


滝の左側、奥に小さく見えるのが人です。ジャングルの真ん中にあり、一目見るのも一苦労でしたが、迫力があり行った甲斐がありました!

今回は前半がサンゴ礁、後半がジャングルでしたが、その間に民宿で休養を取りました。そこのオーナーさんは農家であり、サトウキビ刈りの真っただ中ということだったので、畑にお邪魔させていただくことにしました。

さとうきび刈り
レクチャーを受け、体験させていただきました!そのあとに味わったサトウキビは何とも美味でしたね。


こんな調子で、他にもここに書ききれないくらい多くの体験ができた合宿でした。

農場合宿

56期の林です。春合宿の一つである農場合宿についてお伝えしたいと思います。

この合宿の第一の目的は酪農体験をすること。
そして観光牧場ではなく一般的な農家さんにお世話になることで、農業の実態をつかむことを第二の目的として企画しました。

そんな僕たちを6日間も受け入れてくださったのは、島根県の大田市にある農家さんでした。
牛のエサやりから搾乳、その他作業まで体験させていただけるということで、なんだかんだでファームステイ気分になっていたのですが、そんなに甘いものではありませんでした。
実際に酪農家の一日に参加させていただくと体力面・思考力の面で自分たちの甘さを痛感しました。

それでも合宿後半に差し掛かるとなんとなく牛の気持ちがわかるようになり、作業も苦ではなくなり、搾乳もスムーズに行えるようになってきました!
また、牧場の方は僕たちを地域の集まりに連れて行ってくれたり、他の農業分野で活躍されている方とお話しする機会を与えてくださったりと、酪農家を目指しているわけでもないただの大学生(基礎工学部・工学部・文学部)に優しくしてくれたので、今までのワンゲル合宿の中で一番感動しました。


普段のワンゲル合宿では通り過ぎてしてしまう山の麓にも、生活している人がいる。
そしてその人たちが我々の食を支えている。

そんな、当たり前だけど大切なことに気づけた合宿でした。